2022.3.31おかね

【物件価格以外にもチェックしておくべき、お金のこと】諸費用、税金、優遇制度について

今、手元にある現金・預金を、手元資金といいます。現在建築中で入居までに貯蓄できそうなお金もこれに足して考えてよいでしょう。住宅ローンの借入額は少ないに越したことはありませんが、この手元資金のすべてを住宅購入の頭金にしてはいけません。なぜなら物件価格の他にも購入・入居時にかかる諸費用と税金、そして引っ越し費用や新居での家具家電などを購入するために資金が必要だからです。
まずは諸費用・税金の大枠の目安を知り、そしてその内容を知ることで、契約から入居に至る購入の流れを理解することができます。
また、住宅購入を促進するのは、国民の生活の質の向上と経済活動の促進につながるため、さまざまな優遇税制や優遇金利があります。このような優遇措置を使わない手はありません。
しっかりと優遇税制の知識を身につけて、その分を新しい暮らしのために有効に使いましょう。

購入・入居時にかかる諸費用と税金をチェック

購入金額以外にかかる諸費用・税金の全体の目安額として、下記のような資金が必要となります。諸費用ローンというものもありますが、住宅ローンに比べると一般的には金利も高いので、この諸費用と税金の目安額は手元資金として残しておける位のゆとりを持ちましょう。
・新築マンション 物件価格の3%~5%
・中古マンション 物件価格の5%~8%
・一戸建て 物件価格の6%~8%

実際に支払うことになる諸費用にはどんなものがあるでしょう。

【登記費用】【司法書士費用】不動産登記時に必要な費用

不動産を購入した場合、その所有権、抵当権を登記所(法務局)の登記簿に記載するのが通常です。義務ではありませんが、登記することでその土地や建物の所有権を第三者に示すことができます。この登記に関わる費用として法務局に支払う【登記費用】、手続きを代行してくれる司法書士に支払う【司法書士費用】が必要となります。

【融資手数料】【ローン保証料】【団体信用生命保険料】住宅ローンを組む場合に必要な費用

住宅ローンを組む場合には、金融機関に支払う【融資手数料】、収入でローン返済をできなくなった時のためにローン保証会社に支払う【ローン保証料】、ローン契約者が亡くなった時に借入額が全額支払われる生命保険会社に支払う【団体信用生命保険料】などが必要となります。【ローン保証料】は連帯保証人をつけることによってかからなくなることもありますが、対人関係にも影響を及ぼすことから【ローン保証料】を支払って済ませる方がほとんどです。

【修繕積立基金】新築分譲マンションの場合、物件によって必要となるもの

新築分譲マンションの場合、物件によっては購入時にある一定額の【修繕積立基金】を支払わなくてはいけない場合があります。そのマンションの長期的な修繕計画によるもので、基金はそのマンションの管理組合のものになるため、正確にいうと費用というより預け金のようなイメージでしょうか。最初に基金を積むことで、その後の修繕計画をスムーズにするためのものです。

【仲介手数料】売主や売買契約の仕方によって必要となるもの

【仲介手数料】は新築分譲マンションで直接売主から購入する際には必要ありません。中古不動産を仲介購入する場合、建売住宅や注文住宅を売主からでなく不動産会社に仲介してもらって購入する場合には、【仲介手数料】を支払うこととなります。販売担当者に確認してみましょう。

税金として支払うことになるものには下記のようなものがあります。

【消費税】売主によって建物のみにかかってくる税金

物件の価格には、【消費税】がかかる場合とかからない場があります。
中古の土地建物を一般個人から購入する場合には、土地にも建物にも【消費税】はかかりません。しかし、不動産会社(課税事業者)から購入するときには、土地にはかかりませんが、建物には【消費税】がかかります。建売住宅の場合は、不動産会社等が売主になりますので、建物部分には消費税がかかります。不動産会社が通常販売価格と表記している金額には消費税は含まれています。建物部分のみが対象ですが10%はなかなかの金額となりますので、担当者に確認しておきましょう。

【印紙税】契約書に印紙を貼ることによって支払う税金

住宅を買う時の不動産譲渡契約書、注文住宅を依頼するときの建設工事請負契約書、金融機関から住宅ローンを借りるときの金銭消費貸借契約書には、印紙を貼り消印を押します。この印紙を買うことで実は国税である【印紙税】を支払っているのです。【印紙税】の額は内容とその金額によって変わってきます。

【登録免許税】 登記時に必要な国税、軽減措置も併せてチェック

【登録免許税】とは、不動産登記をする際に納める国税のことです。手数料である【登記費用】以外にも国税がかかるのです。この税額は土地・建物の固定資産税評価額に一定の税率をかけて算出されます。固定資産税評価額とは、固定資産税などの地方税の基準となるものです。自治体が基準とする土地・建物の価格で、実際の売買価格とは異なります。
【登録免許税の軽減】措置を受けるためには条件がありますので、そちらもチェックしておきましょう。

【不動産取得税】 購入後、一度だけかかる地方税、軽減措置も併せてチェック

【不動産取得税】は不動産売買をした後、数か月後に支払うもので、購入後、一度だけかかる地方税です。税額は登録免許税と同様に、原則として固定資産税評価額に税率をかけて算出されています。しかし、これも【不動産取得税の軽減】措置があります。地方税としては、この一度だけ支払う【不動産取得税】の他に、毎年支払う【固定資産税】があります。こちらも併せて知っておきましょう。

ワンポイントアドバイス

不動産購入をすると、こんなにさまざまな費用や税金がかかるのだとびっくりするかもしれません。税金によって住まうための社会基盤、インフラが整えられています。どこにどんな費用や税金を自分が支払うのかを知ることは、契約から入居までの流れを知ることにもつながるでしょう。

優遇税制や優遇金利の数々をチェック

住まいを購入するためには、さまざまな諸費用や税金がかかりますが、さまざまな軽減措置や優遇税制、優遇金利なども用意されています。上手に使うことによって、新しい住まいでの豊かな暮らしを手に入れましょう。

優遇税制を知り、しっかり節税しましょう。

【住宅ローン控除】購入翌年の確定申告を忘れないで

「住宅ローン控除」とは、住まいの購入資金に住宅ローンを利用している場合に「年末時点での住宅ローンの残高の1%」が、入居時から10年間、給与などから納めた所得税や住民税から控除される優遇税制度です。気を付けたいのは、「住宅ローン控除」の適用を受けるためには、「入居した翌年の3月15日まで」の間に確定申告をする必要があるということです。確定申告をしないと、納め過ぎた所得税を還付してもらうための申告ができないため、「住宅ローン控除」の適用が受けられなくなります。夫婦共有名義などでペアローンを組んで購入した場合などは、夫婦各々で確定申告書をするように注意が必要です。
給与所得者の場合、購入の翌々年からは所定の書類を勤務先に提出して、「年末調整」で手続きをしてもらうことができます。

【登録免許税の軽減】内法面積であることに注意

建物の登記や抵当権の登記については50平米以上(登記簿上の内法面積)、自宅として住む住宅であること、取得後1年以内の登記、中古の場合は築年数が20年以内(マンションなど耐火建築物は25年以内)であることなどの条件を満たせば、軽減措置があります。新築分譲マンションのパンフレットなどに掲載されている床面積は壁芯面積となっていることが多いので、登記簿上の内法面積がこの条件をクリアするかどうかを担当者に確認しておきましょう。特に手続きは必要なく登記の際に条件を満たしていれば自動的に税額が軽減されます。

【不動産取得税の軽減】購入したら速やかに申告しましょう

この税金はこの軽減措置によってかからなくなる場合が多いのですが、申告制です。条件を確認し都道府県税事務所に速やかに申告しておきましょう。
軽減措置を受けるには、住宅の床面積が50m²以上240m²以下ということが条件となります。但し、マンションの場合、床面積には共用部分を按分した面積も加算されるため、専有面積が50m²未満でも適用される場合があるので不動産担当者に相談し計算してみましょう。
中古住宅の場合は現行の新耐震基準を満たすことが前提なので、築年数などの要件を満たさなければ利用できない軽減措置のため注意が必要です。

【ZEH水準省エネ住宅】【省エネ基準適合住宅】住宅ローン控除額が増額

脱炭素社会に向けての動きが世界中で高まっている中、物件が低炭素住宅に認定されると住宅に関する税制優遇措置、住宅ローン控除の最大控除額が大幅に増える制度が施行されています。【ZEH水準省エネ住宅】【省エネ基準適合住宅】に認定されていると住宅ローン控除額の最大額が大幅に高くなります。
検討している物件がこの認定を受けているか担当者に確認してみましょう。

【優遇金利について】は機能の高い物件に適用されるもの

さまざまな金融機関からさまざまな住宅ローン商品がでています。その金利については【金利のタイプから考える】失敗しない住宅ローンの選び方を参照していただくとして、ここでは機能性の高い物件について用意されている優遇金利についてご紹介します。

【認定長期優良住宅】優遇税制・優遇金利

劣化対策・耐震性・維持管理や更新性の高さ・可変性(マンションの躯体の高さ)・バリアフリー度の充実・省エネルギー性・居住環境・住戸面積・維持保全計画など、一定の条件を満たすもの物件が、【認定長期優良住宅】と見なされれば、優遇税制や優遇金利を受けることができます。
優遇税制としては、住宅ローン控除の最大控除金額が高くなる、登録免許税、不動産取得税、固定資産税も優遇されます。
優遇金利としては、長期固定金利型の【フラット35】S(金利Aプラン)が利用できるようになります。

【贈与税の非課税枠】親や祖父母から購入資金の援助してもらえるならチェック

これは贈与税の時限的な特例措置です。2023年12月31日までに住宅資金として、父母や祖父母から住宅を取得するための贈与を受けても、一定額までは贈与税がかからないというものです。
この特例は数年前からあるものの、施行されて以降、限度額が段階的に下がってきています。それでも基礎控除額の110万円に加えて最大で1,000万円が非課税になる可能性があるので、もし援助してくれるのであれば使わない手はありません。確定申告が必要となりますので注意が必要です。

ワンポイントアドバイス

住宅購入にまつわる優遇税制や優遇金利をつかうことにより、その分、新生活での暮らしにゆとりが生まれます。担当者に相談しながら、ぜひ積極的に優遇措置を活用してみてください。
また、少子化の中、父母や祖父母から住宅購入資金のサポートを受けて住宅購入をする方も多くいらっしゃいます。【父母、祖父母からの住宅資金援助】には贈与だけでなく資金借入、共有などはさまざまな形があります。子どもの夏休み時の帰省、お正月など、日本には定期的に家族が集まる習慣がありますので、その時に家族の将来像などを話し、住宅資金や子どもたちの教育について相談ができる関係性を築いておくとよいでしょう。

まとめ

住宅購入にかかる諸費用や税金が大枠でいくらくらいかかるのかを把握すること、そしてそれがどういう意味を持つのかということを知ることで、お金にまつわる不安をさらに和らげることができ、また段取りや手続きを理解することができるでしょう。
また優遇税制や優遇金利を知り、積極的に使うことにより、新しい住まいでの暮らしを豊かに楽しいものにしていきましょう。

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