住宅ローンの月々・ボーナス返済とは別に、住み始めてからも定期的にかかる費用があります。いくらかかるのかを把握し、家計管理をしましょう。
1年に一回かかるものとして、固定資産税・都市計画税、火災・地震保険などがあります。
このうち、固定資産税は新築住宅であれば新築から数年の軽減措置があります。火災・地震保険はハザードマップで示されたリスク度によって保険料が変わるエリアがあるので要チェックです。
月々払うものとしては、マンションの場合には、管理費・修繕積立金などがかかります。その他にも借りている人だけに駐車場利用料、駐輪場利用料、バルコニー利用料がかかる場合があります。
マンション管理の充実はセキュリティや住み心地にも関係してくるので、管理費がどのように使われるのか管理体制はどのようになっているのか確認しましょう。修繕積立金は長期修繕計画を元にして算出され、大規模修繕のためにマンションの管理組合に積み立てられる資金です。こちらも長期修繕計画をチェックしておきましょう。
固定資産税・都市計画税は地方税。建物により期間がかわる固定資産税の軽減措置
固定資産税・都市計画税は地方税です。都道府県税事務所から年一回支払い通知が届き、全納・分納を選び支払うことができます。元になるのは固定資産税評価額という市町村が3年ごとに定める価格で、実際の売買金額とは異なります。
新築住宅の場合、固定資産税は一定期間税額が半額となる軽減措置を受けることができます。半額となる期間は、新築マンション(3階以上の耐火、準耐火構造)は新築後5年間、新築戸建ての場合は新築後3年間、一定の条件の新築戸建て(3階、耐火、準耐火構造)は築後5年間、さらに認定長期優良住宅であればそれぞれ2年間半額の期間が延長されます。最大で7年間もの間、固定資産税が半額となります。
ワンポイントアドバイス
固定資産税評価額は土地と建物の評価となります。大規模マンションに比べると小規模マンションの場合は土地の所有区分が大きくなりがちなので固定資産税評価額も高めとなります。また、軽減措置期間が終わると全額納めることとなります。急に前年の倍額の支払い通知が届くのでびっくりするかもしれませんが、それまで税額が軽減されていたということを知っておきましょう。
火災・地震保険で「自分の家は自分自身で守る」
火災、地震等の災害に対しては「自分の家は自分自身で守る」ことが基本となります。
火災による被害は、民法の特別法で、よほど火元に重大な過失責任がない限り、延焼先に対する賠償責任はないと定められています。隣家の火災延焼で自宅が全焼しても、自分の家の分は隣家の火災保険で賠償されないということです。
また近年、たびたび発生している、水害や地震、竜巻などの自然災害で住宅や財産に損害を受けても、国や自治体の支援は限定的となります。まずは自治体が作成しホームページなどで告知している「ハザードマップ」で、そのエリアのリスクを認識しておきましょう。その地域に一定規模の被害をもたらした災害については、被災者生活再建支援法が市区町村単位で適用となり、一定の被災者には被災者生活再建支援金が給付されます。しかし、個々の住宅が抱える災害リスクは、地域の特性や立地、建物の状況などにより変わります。
参照 国土交通省「ハザードマップポータルサイト」
そこで「自分の家は自分自身で守る」のに必要なのが、火災・地震保険となる訳です。
但し、マンションの場合は躯体の内側のみが自身がかけられる保険対象となるため保証金には限界があります。管理組合で共用部の保険にも入っているか留意しましょう。
ワンポイントアドバイス
「自分の家は自分自身で守る」ことが必要であるということを知り、保険でそれに備えましょう。日本は地震の多い国です。ライフスタイルや家族との関係で住みたいエリアが限定的な場合も、そのエリアにはリスクがあるかもしれません。リスクをきちんと自ら認識したうえで購入を決断し、またいざとなったときにどのように対応しなくてはいけないかも確認しておくことが大切です。
管理費とは何に使われ、修繕積立金とは何に使われるのか
マンションの管理組合とは、そのマンションの所有者で形成されるマンションを維持管理していくための組織です。管理方法も管理規約も、長期修繕計画もその実施も、管理会社を変更する議決権も、所有者は持っているのです。
新築分譲マンションの場合は、分譲会社が予めこれらのことを決めて販売していますが、管理組合が運用を始めると、それらの管理維持は管理組合とその組合から業務委託された管理会社が行うことになります。
建物周りや共有部の清掃、管理人の人件費など、管理費は日常の維持管理・セキュリティに関するものに使用されます。長期修繕計画を前提として積み立てられる修繕積立金は大掛かりな修繕工事費用に使われます。
駐車場代や駐輪場台、バルコニー使用料などは料金がかかるマンションとかからないマンションがあります。これらのものは、物件によって管理費にあてられている場合と修繕積立金として積み立てられている場合があります。例えば、機械式駐車場は入れ替えるとなると非常に費用がかかるため、修繕積立金として扱われていたり、住戸に対して駐車場が少ない場合は、管理費に組み込まれたりしています。物件によってこの扱いはさまざまなので確認してみるとよいでしょう。
ワンポイントアドバイス
日々の維持管理・セキュリティが必要十分か自分たちのライフスタイルに合っているかチェックしてみましょう。管理組合で話し合い変更することも可能です。
資金を積み立てる元となる長期修繕計画はあるものの、実際に実施するかどうかは管理組合の決議で決めていきます。修繕計画自体も管理組合の決議によって変更可能なのです。時代に即した大規模修繕ができることを知っておきましょう。
まとめ
住宅ローンの支払い以外に、住み始めてからもかかる税金や維持管理費用があることを念頭におき、無理のない家計管理をしましょう。
固定資産税は軽減措置があることを知り、軽減措置が終わったのちは全額支払わなくはいけないことを認識しておきましょう。火災・地震保険で過不足なく自分の資産を自ら守ることも大切です。管理費と修繕積立金を決めていく議決権を持っていることを認識し、管理組合の一員として時代に即した維持管理をしていくよう努めましょう。
この記事はどうでしたか?